「これからの世界」で働く君たちへ

「これからの世界」で働く君たちへ
山元賢治 (著)

アップル・ジャパンの元社長が、これからの世界で活躍しようとする人たちへ向けて書いた本。著者は元々はエンジニア出身でIBM、 オラクル、 EMCでなど働いていた後アップルの社長に就任しています。ラリー・エリソンやティム・クック、現役時代のスティーブ・ジョブズらとも直接仕事をしていたそうです。

HOW論な部分が多いのですが、仕事で成果を出すためにはマインドが重要であると語っている部分は印象的です。 著者が仕事で関わったスティーブ・ジョブズも強烈なリーダーシップの背景には強い好奇心とパッションがあったそうです。

また他にも印象的だったのが、優秀な人にはやるべきことが集まってくるということ。そのやるべきことは必ず自分一人で行える許容範囲を越えます。その際に重要なのは、優先順位をつけること。あれもこれもの足し算ではなく、引き算で考えることが大切だということです。

典型的なビジネス本ですが、興味深い点もいくつかあるのでお薦めです。

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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン (著), 池村 千秋 (翻訳)

これまでとは異なる状況が予想される、未来の働きかたについての本です。未来に訪れる環境変化と未来に働く人々のストーリーが描かれています。

この本の興味深い点は、環境変化を経た後の未来で人々がどのような働きかたをしているかということを具体的なストーリーで語っているところです。また、著者自身はメールというツールがまだ普及していなかった1990年代前半に仕事をしていた経験があり、過去と未来を対比させることで働きかたの変化がより明確化されています。

テクノロジーの進化
グローバル化の進展
人口構成の変化と長寿化
個人、家族、社会の変化
エネルギー・環境問題の深刻化

皆さんは社会や環境、テクノロジーの変化によって仕事の仕方がどのように変わるかかということを考えてみたことがあるでしょうか。この本では、今後10年間の働き方は過去10年間とどのように違うのかといったことについて考えるきっかけを得ることができます。

著者がこの本を書くきっかけを得たのは、自身の子供が将来のことを話してくれたときにどうアドバイスして良いのか困ったことだったそうです。ロンドンビジネススクールで組織論を教える著者は、多くのデータと考察からこの重要な内容をまとめあげています。子供達だけでなく、多くの人にとって大切な未来を考えるテーマを扱ったお薦めの本です。

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ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
エリヤフ・ゴールドラット (著), 三本木 亮 (翻訳)

ユニコ社という架空の製造業会社を題材として、生産行程の改善を通した全体最適化の手法を説明した本。小説形式で書かれていて、読み進めることで自然にその手法が理解できるようになっています。

紹介されている考え方はTOCやクリティカルチェーンと呼ばれるもので、製造業に限らず一般的な問題解決の考え方にも応用されています。

読み進めてわかるのは、製造業の生産行程はどこか一部分の生産性が高くても全体としてのアウトプットは一番生産性が低い部分に引きずられるということです。

同様のことはチームスポーツや組織についても言えます。ある組織でどんなに突出している人がいても、他のメンバーで一人でも劣る人がいればそこに合わせて全体のアウトプットは決まってきます。それを避けるには、その人を育てるか、そのひとに代わる新たな人員を見つけて入れ替えることになります。

ペットボトルの中に入れられる固形物はボトルの一番細い部分(ボトルネック)に依存するということです。そのボトルネックを拡げることが全体最適化に繋がります。

500ページを越える分厚い小説なので読むのには時間がかかりますが、お薦めの一冊です。

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EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方

EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方
ダニエル ゴールマン (著), リチャード ボヤツィス (著), アニー マッキー (著), 土屋 京子 (翻訳)

IQ(知能指数)とは異なるEQ(こころの知能指数)という考え方を提唱した本。  優れたリーダーは自己認識、 自己管理、社会認識、人間関係の管理の能力が高く組織において1+1>2を実現する。これらの要素は学習によって身に付けることができる。

また、著者らが多くの役員、管理職、従業員と対話し分析した結果、組織のリーダーは状況に応じて次の六つのリーダーシップを発揮していることがわかった。

ビジョン型――共通の夢に向かって人々を動かす
コーチ型――個々人の希望を組織の目標に結びつける
関係重視型――人々を互いに結びつけてハーモニーを作る
民主型――提案を歓迎し、参加を通じてコミットメントを得る
ペースセッター型――難度が高く、やりがいのある目標の達成をめざす
強制型――緊急時に明確な方向性を示すことで恐怖を鎮める

前半の四つは前向きなリーダーシップ・スタイルであり、人々の協調を産み出し組織に前向きな影響を与える。一方、後半の二つは危険なリーダーシップ・スタイルで、かなり限られた緊急時にのみ効果を発揮する。ペースセッター型と強制型のリーダーシップは使い方によって組織に大きな悪影響を与えるので注意したい。

この本を読むと、 これまで複数人のいる組織でリーダーの立場だった、もしくはリーダーのもとで仕事をしたことがある人はそこで発揮されていたリーダーシップがどのようなものだったか新しい気づきを得られるかもしれません。

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脳内物質仕事術

脳内物質仕事術
樺沢 紫苑 (著)

精神科医の著者が書いた脳内物質をテーマとした仕事術の本。 ここで紹介されている脳内物質はドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、メラトニン、アセチルコリン、エンドルフィンの七つで、それぞれの特徴と心身に与える影響が説明されています。

難しそうなテーマですが、かなり分かりやすく説明されていて読みやすいです。脳内物質の専門書ではないので、詳しい人からすると単純化し過ぎだと指摘されるかもしれないという点は著者も触れています。ただ、脳内物質とビジネスの話を繋げたこの本で難しい説明は不要だし読み手にとっては十分に価値のある内容になっています。

脳内物質の仕組み以外にも、朝食を抜かないでしっかり食べること、 夜寝る前に強い光を浴びないこと、適度な運動をすることなど一見身体に良さそうなことが、なぜ良いのかということも説明されています。

これを数年前に読んでから、生活で気を付けるポイントが見えてきてかなり生活改善を図ることができました。仕事に限らず、日常生活でも役立つ情報なので多くの人にお薦めしたい一冊です。

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サーチ! 富と幸福を高める自己探索メソッド

サーチ! 富と幸福を高める自己探索メソッド
チャディー・メン・タン (著), 柴田 裕之 (翻訳)

米Googleの社員研修プログラム「Search Inside Yourself」を書籍にしたものだそうです。Googleにそういう研修があることはこの本で知りました。

本の中ではEQ(こころの知能指数)の鍛え方を具体的に示していて、禅や瞑想を思考の集中手段として取り入れています。EQはダニエル・ゴールマンらによって提唱された自分の感情(Emotion)をコントロールする能力のことです。

サーチ!ではマインドフルネス(自己認知、注意のコントロール)を鍛えるためのエクササイズを提示していて、本を読み進めながらトレーニングすることができます。一人でできるものやパートナーと二人でやるものもあり、「Search Inside Yourself」のプログラムを自分で実践することができます。

これまでEQの必要性を説いた本は多くありましたが、その鍛え方までを書いた本はなかったので価値ある一冊だと思います。

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ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)

先進国の知識労働者と言われる人々が今後直面する課題は何か、磨くべき力はどんなものかについて書かれた本です。米国で人気になった作品で原題は「A Whole New Mind」です。

当初、訳者の大前研一はこの本の邦題をアルビン・トフラーの有名な書籍になぞらえて「第四の波」にしようとしたそうです。この本にかかれていることが今後「第三の波」に勝る影響を与えるかまでは分かりませんが、インパクトのある内容でした。

この本ではこれからの世界で起こる状況変化によって「ナレッジ・ワーカー」の仕事が代替されていくと主張しています。ダニエル・ピンクはこの危機の要因は「豊かさ、アジア、オートメーション」という三つの危機要素であり、これからの世界で活躍するために以下の六つの感性を磨くことが重要といいます。

「機能」だけでなく「デザイン」
「議論」よりは「物語」
「個別」よりも「全体の調和」
「論理」ではなく「共感」
「まじめ」だけでなく「遊び心」
「モノ」よりも「生きがい」

米国の2割以下の給与水準で働くインド人のハイテクエンジニアや、チェス世界チャンピオンに勝つディープ・ブルーのストーリーは現実的に迫る危機として印象的です。日本でも身近なところでコンビニやスーパーのレジに立つ外国人を見ていると、一昔前にフリーターと言われていた労働層の仕事が代替されつつあるんだなと感じます。

グローバル化やオートメーションについて興味深い示唆を提示しているお薦めの本です。

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統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である
西内 啓 (著)

医学部で統計学を学び統計分析を専門とする著者の統計学に関する書籍。統計学は普段あまり意識しませんが、日常の様々なところで使われている学問であることが分かります。統計は、完璧ではないが過去の情報から最善の選択をする助力となってくれるツールであり、その使い方は体系的にまとめられています。

統計学はコレラの蔓延と止めるべく使われたり、喫煙と癌の影響を割り出したりと古くから使われてきていますが、現代の身近なマーケティングでも使われています。

ただ集めて統計するだけでなく、情報のサンプリングやランダム化によって誤差をなくすことができるそうです。統計学が最強の学問であるかどうかまでは分かりませんが、ビッグデータデータマイニングといった手法のコスト面をよく考えるきっかけにはなります。

表現に棘のある部分もありますが、大学で受ける統計学の授業をもっと体系的に分かりやすくしたような本でお薦めです。

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7つの習慣―成功には原則があった!

7つの習慣―成功には原則があった!
スティーブン・R. コヴィー (著), Stephen R. Covey (原著), ジェームス スキナー (翻訳), 川西 茂 (翻訳)

人生をより良く生きるための教訓がまとめられた名著。仕事だけでなく、家庭や個人の活動でも多いに価値のある内容です。

ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」という本がより自分の内面との向き合い方について書いているとしたら、この本は外部からの影響にどう接するか、他人とどう関わるかということについて書かれています。

7つの習慣のひとつめは「主体性を発揮する」ということです。自分の周辺で起こる自然発生的な出来事も人為的なことも、その影響に対して主体性を発揮することが大切です。行動は選択できるということをくりかえし説明しているこの本からは主体性の影響力を学ぶことができます。

初めて読んだのは何年も前のことですが、最近でもよく読み返します。この本を多くの人に読んでもらいたいと思うのは、他者との関わりの中で生活するということについて多くの人が悩みを抱えているはずで、その問題を効果的に解決する原則が伝えられているからです。

とてもお薦めの名著です。

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グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる

グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる
倉本 由香利 (著)

日本企業のグローバル化について書かれたとても面白い本です。国内向けの企業で働いていると普段あまり意識しないグローバル化というテーマについて、具体的なイメージを持てる内容が書かれています。

グローバル化には次の三つのフェーズがあるそうです。
「販売のグローバル化」
「生産のグローバル化」
「組織のグローバル化」

これまで、日本では販売と生産のグローバル化は実績を積んできており、第三の波である組織のグローバル化が今後必要となります。この本では組織のグローバル化を実現して活躍する個人のことをグローバル・エリートと呼んでいます。グローバル化に成功してきた企業の事例ではサムスンやGE、コマツといった企業の具体的な事例が紹介されています。

筆者は日本人のコミュニケーションについて以下の特徴を挙げています。日本人は教育レベルや文化認識が揃っていて、前提の説明をせずにお互いにコミュニケーションがとりやすい。移民の多い国と異なり、日本では関わる人種の幅が日本人に限られるため文化的背景を考慮せず暗黙の了解が通用する。日本人が欧米人に比べて論理思考に長けていないという主張が、言語構造の話だけではなく文化背景的な話である点には頷けました。

今後、グローバル企業で活躍する人材が持つ素質に問題解決のオーナーシップが重要と言います。異なる文化的背景を持った人々が働く環境で、お互いに衝突が発生した場合に理由を掘って解決するタイプのことです。問題解決がこういった説明をされていることに新鮮さを感じました。

グローバル・エリートの時代について前向きで具体的なことが書かれた本でお薦めです。

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